LPガス(プロパンガス)ってどんなもの?

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LPガス(LPG)とは、「Liquefied Petroleum Gas(液化石油ガス)」の略称で、プロパンやブタンなどの比較的液化しやすいガスの総称です。主成分がプロパンの場合はプロパンガス、ブタンの場合はブタンガスと呼ばれます。
こういった流れを受けて、一般的には「プロパンガス」と呼ばれることが多いようです。

高圧ガス保安法液化石油ガス保安規則(液石則)では、「炭素数三の炭化水素(プロパン、プロピレン等を指し…)または炭素数四の炭化水素(ブタン、ブチレン等を指し…)を混合したものを主成分とするもの」を「液化石油ガス」と定義しています。一般的に使われるLPガスの主成分は、プロパンまたはブタンになります。

LPガスはクリーンエネルギー

地球を掌に載せたエコのイメージ

LPガスの燃焼時のCO₂排出係数は、原油を1とした場合指数換算で0.86となり、ガソリンや灯油など他の石油製品と比べて約10%少なくなっており、LNGを含めた化石燃料の中でもトップクラスの環境性能を持っています。

また生産・輸送段階での排出量も含めた場合は、石油を1とした場合指数換算で0.89となり、都市ガスやLNGとほぼ同等の低い排出量になっています。
酸性雨の原因となるSOx(硫黄酸化物)の排出もほとんどないため、大変環境にやさしいエネルギーと言えます。

日本LPガス協会HPより引用

カロリーは都市ガスの約2倍

LPガスのカロリーは24,000 kcalです。
これは都市ガスのカロリー10,750kcal/m3の2.23倍に相当しますので、ハイカロリーなエネルギーであるといえます。
ですから、都市ガスと同じ量のガスで2.23倍のエネルギーを得られることになります。
カロリーの高いLPガス(プロパンガス)でなければ店の味が出せないという理由で、LPガスを使っている飲食店もあります。

プロパンガスとLPガス、何が違うの?

プロパンガスはLPガスの主成分

LPガスとプロパンガスについての図解
LPガスとプロパンガスについての図解

LPガスはボンベの中に入っているガスの総称

プロパンガスとLPガス、一般的には同じ意味合いで使われますが、厳密に言うと違う意味になります。

ガス屋さんがガスボンベに詰めて配送しているのはLPガスです。

正しくは液化石油ガス(Liquefied Petroleum Gas)と言います。

 

このLPガスには、プロパン、ブタンなどの石油や天然ガスに含まれる炭化水素が混在しています。

つまり、プロパンはLPガスの主成分なのです。

 

言い方を変えれば、

LPガス=プロパンガス+その他のガス

ということになります。

プロパン以外でLPガスに含まれるのはブタン、プロピレンなどです。

しかしプロパンが主成分であるLPガスは、一般的にはプロパンガスと呼ばれることも多いため、本サイトではプロパンガスの呼称を併記させていただく場合があります。

 

ボンベの中には液体の状態で入っている

 余談ですがこれらのガスの共通点は、常温では気体(ガス)ですが、高圧状態では液体になります。

ですからボンベの中ではこれらのガスは液体の状態で入っています。

ボンベから出て通常の気圧になるとガスになります。

 

LPガスのうちプロパンが主成分の物がプロパンガス

別の見方をすれば、LPガスのうち、プロパンが主成分の物をプロパンガス、ブタンが主成分の物はブタンガスと呼ぶ場合もあります。

家庭用燃料として使われているのはプロパンガスの方です。

ブタンガスはスプレーなどで使われます。

 

プロパンガスの重さって?

ガス屋さんはどうしてボンベの中のガスが空になったのがわかるのでしょうか?

プロパンガスのボンベにはいろいろな種類があることがお気づきだと思います。

プロパンがガスボンベの中では圧縮されて液体の状態で入っているのはすでにご説明したとおりです。

またプロパンガスは空気よりも重いのですが、液体のプロパンは更に重くてボンベとほぼ同じくらいの重さになります。

ですからガス屋さんはボンベを持ち上げるか揺らすかしてみると、中にプロパンが入っているか空なのかが概ねわかります。

また、調整期の真ん中のセンサーが赤くなっていると片方のガスボンベが空になっていることがわかります。

プロパンガスボンベの種類と重さ
ガスボンベの種類 ガスボンベの重さ(kg) ガス本体の重さ(充填時)(kg) 総重量(kg)
2kgボンベ 3.4~3.7 2 5.4~5.7
5kgボンベ 7.2~7.4 5 12.2~12.4
8kgボンベ 10.0~10.1 8 18.0~18.1
10kgボンベ 13.0~14.0 10 23.0~24.0
20kgボンベ 18.5~23.0 20 38.5~43.0
 50kgボンベ 36.5~47.0 50  86.5~97.0

LPガス(プロパンガス)の性質

容易に液化させることができる

LPガスは常温・常圧では気体ですが、常温で低い圧力(1MPa以下)をかけることによって容易に液化させることができます。またブタンは常圧における沸点が-0.5度と高く、低温にすることでも液化させることができます。

容器内のLPガスは圧力をかけて液化されており、通常は自然気化させて使用しますが、寒冷地等では強制気化装置(ベーパライザー)が必要となる場合もあります。

ボンベの中ではガスは燃焼しない

LPガスは気体の状態で酸素と一定の比率で混合した場合に燃焼します。
ボンベの中は圧縮されたLPガスの液体が入っており、酸素もありませんのでボンベの中のLPガスが燃焼することはありません。

空気より重い

ガス比重がプロパンで約1.5、ブタンで約2.0と空気より重いため、空気中に放出された場合は底部に滞留します。このため漏洩時は底部の換気を行う必要があります。

燃焼には大量の空気が必要

プロパン1㎥を完全燃焼させるためには、理論上その24倍の量の空気が必要となり、実際の燃焼時はそれに加えて20~100%の過剰空気が必要となります。

着臭している

純粋なLPガスは無色無臭ですが、保安上の観点から漏洩時に感知できるように、微量の硫黄系化合物で着臭しています。高圧ガス保安法では、空気中の混入比率が1/1000の場合においても感知できるように着臭することが定められています。

なお、ガス着火及び消化時に着臭剤の臭いが強く出ることがありますが、これは容器内の残ガス量減少により、容器下部に溜まった着臭剤の濃度が高くなるために発生するもので、安全上は特に問題ありません。

持ち運びが容易

LPガスは容易に液体にすることができます。液体にすると体積は気体時の1/250となるので、LPガス容器に充てんしどこにでも運ぶことができます。このため、都市部や郊外だけでなく、離島や山間部等の地方における重要なエネルギー源として、幅広く利用されています。

また可搬性に優れたLPガスは、災害時のエネルギー源としても多くのメリットがあります。

災害に強く、復旧が早い

「地震列島」と呼ばれる日本では、災害発生時においても安定期的に使用可能なエネルギー源を確保することが重要な課題となっています。
LPガスは、各需要家ごとに個別に供給可能な「分散型エネルギー」なので、災害発生時にガスの供給が遮断された場合も、個別に調査・点検を行うことで 都市ガスや系統電力に比べて相対的に早く復旧させることができます。

また、通常の場合、家屋の横にLPガス容器が2本設置されており、言わば軒下に在庫がある状態となっているので、1本目が切れても、2本目で1か月以上ガスを使い続けることができます(50kg容器×2本の場合)。

そして、緊急時のエネルギー源として、避難所や仮設住宅等にも迅速に供給することができます。

毒性がない *但し換気不足による不完全燃焼には注意

LPガスそのものに毒性はございません。ただし、不完全燃焼の場合は一酸化炭素が発生する可能性がございますのでご注意ください。